fin ただの怪我で済むはずが思いもよらない結果を生んでしまった。その事実にダリは申し訳ない気持ちにとらわれる。すべては自分の責任にあるとさえ思えた。 そんなダリを見て、イユは重いため息を一つ。彼からすれば、自分の身勝手な行動が引き起こした結末がこれなのだ、文句などない。そう言いたくてたまらないのだろう。 だが哀しいかな、イユはこの斑点模様のせいかいつも以上に体力を消耗していた。悪態をつく余裕すらなかった。故に納得のいかない目でダリをずっと見続けるばかりであった。 「……帰ろう。うん、とりあえず帰ろう。アイツに聞けばこの正体がなんなのかわかるかもしれないし、あの娘なら治せるかもしれない。そうでしょ? ネッ?」 そんな空気を良くも悪くも引き裂いたのは、やはりルダ、この男だった。くるりと一回転してウインクを決め、人差し指をぴんとたてる。そんな彼にライはがっくりと卒倒しそうになるも、イユを担いでいるがために遠慮しておいた。 「そうだな……帰ろう、ひとまずは帰ろう」 ダリの言葉に頷いたルダとライを筆頭に、黒いウサギの集団は怪物の亡骸に背を向けた。もう二度と来ることないだろう、その背中が物語っていた。 とんでもないことに巻き込まれたかもしれないなあ、とダリは内心気を悪くしながらも、まずは帰って休息をしっかりとり、それから改めてこの事態について向き合おうと深く思ったのだった。 「やっと見つけた」 黒兎が去った荒廃した地に、少女の声が響き渡った。緩く弧を描くその唇は薄く色づいていて、紛れもなく赤い。 「会いに行くから、待っててね」 紅唇からちらちらと覗く歯は鋭く尖り、それが異様な雰囲気を醸し出していた。八重歯を噛み締めて少女は愉悦に顔を歪ませると、音もなくその地を後にする。まるで黒兎の後を追わんと急がんばかりだった。 2014/03/06 すべての始まり。 執筆日は2013年12月21日でした。 |